絵本作家・どいかやさんは10年前の大みそかに服を整理していて、ふと思ったそうです。
「着きれないほど服を持っていても、まだ服を買い続ける私。服をしまうスペースもなくなってきているのに。」

　なんとそこでどいさんは「10年服を買わないでみよう！」と、思いつきで決めてしまいます。ちょうどその頃、衣服をはじめとする「もの」が生産され、流通し、消費される過程での、人や環境へのさまざまな影響を知ったことも、10年服を買わないチャレンジを勇気づけることになったそうです。


　今ある服を素敵に着こなす工夫や、裁縫が大の苦手などいさんが手縫いでつくる簡単リフォーム服などのアイディアが紹介されていて、すぐにでも今の私たちの生活に取り入れられそうです。


　10年たって何か変わったことはあるのでしょうか？
「ものがあふれている頃に感じていた窮屈さ、後ろめたさがなくなってすっきりした気がします。また、何か足りないと思うときは、今あるものをどう工夫すればいいかと考え、それがうまくいくと楽しい。お金に頼らなくても何とかなるんじゃないか、という余裕と自信が生まれました。自分の持っているものと愛情を持って向き合う事で、今あるものと仲良くすることの楽しさをみつけたように思います。」

　シンプルに心地よく楽しんで暮らすヒントがたくさん詰まっています。

 

［ Profile ］
どいかや ／ 絵本作家。絵本に『チリとチリリ』シリーズ（アリス館）、『ハーニャの庭で』（偕成社）、『アイヌのむかしばなし ひまなこなべ』（萱野茂／文　あすなろ書房）など。エッセイに『ちっぽけ村に、ねこ10ぴきと。～絵本作家の森ぐらし～』（白泉社）がある。　X（旧Twitter）@KayaDoi　Instagram ＠doikaya